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今月の15日から、過去にこの映画館で上映されていた名作が期間限定で復刻上映されていることもあり、久しぶりに足を運びました。勤めている国語教室が恵比寿にあることもあり、僕も空いている時間を使ってこの映画館に行くことが幾度となくありましたが、今回も時間を調整し、日を分けていくつかの映画を観ることができました。まず、キューバ革命の指導者であるチェ・ゲバラの青年期の南米旅行を描いた『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2003年/ロバート・レッドフォード監督)。近未来の月面を舞台に、科学技術の発達による生命倫理問題をテーマとした『月に囚われた男』(2009年/ダンカン・ジョーンズ監督)。そして、明日はいよいよ閉館という1月27日(木)に観に行ったのは、この映画館がかつてから多く上映してきたウディ・アレン監督の最新作『人生万歳!』(2009年)。閉館間近ということもあり、映画館にはいつもに比べてたくさんの人が来ているように感じられました。映画が終わったあとも、心なしかどの人も名残惜しそうに館内に留まり、壁一面に貼られてある往年の映画ポスターやパンフレットに見入ったり、携帯電話のカメラで撮影したりしていました。館内には館長さんらしき方もいて、ロビーの人たちの様子を感慨深げにじっと見つめていました。決して短くはない歴史を刻んできたものや場所が姿を消すというのは、やはり寂しさを感じさせます。 とはいえ、日本の他の地域と同じく、僕が今住んでいる埼玉の旧大宮や隣の浦和でも、昔ながらの映画館は姿を消してしまいました。大宮で最後の映画館が閉館したのは、僕が大学生のときでした。今やさいたま市には、MOVIXやワーナー・マイカルなどに代表されるような、他の商業施設に併設されている最新式のシネマコンプレックスしかありません。 「日本は欧米と異なり、ここ何十年かの間に社会の重心をずっと若い層にシフトしてきた。その結果、社会全体がどこか遊び半分で、軽くて、頼りない印象になってしまった」と語っていたのは、作家の池澤夏樹氏です(『明るい旅情』新潮社より)。 僕たちは映画を観るとき、銀幕の中で繰り広げられるさまざまなドラマと自分の人生を重ね合わせます。そして、映画の登場人物のような人生を生きてみたいという一種の憧れの気持ちを感じ、想像を広げていきます。 「映画は皆のもの。映画館の中で、こっちに学校の先生、あっちにソバ屋のおかみさんがいる。お爺ちゃんも、子どももいる。皆が学問や教養に関係なく、一緒になって1つの映画を観ている。僕はそういうのが好きなの。映画は人の垣根も国の垣根も取り払ってくれる。それが映画なの。」と語っていたのは、「さよならおじさん」としても知られた映画評論家の淀川長治氏です。 たとえ形が変わっていくとしても、僕たちに良質な出会いの時間を提供してくれる場所は、なくなってほしくないものです。 |
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