郡上八幡への旅① 旅の持ち物~「春駒」~郡上へ

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 旅を重ねるにつれて、旅先へ持っていくものがだんだんと少なくなってきているのに気付きます。

 以前は滞在日数分の着替えはもとより、薬、洗面用具一式、筆記用具、折り畳み傘、合羽、何冊かの文庫本……などなどをしっかりと準備して、大きめのバッグで旅に出ていました。ところが最近は、持っていくのは必要最低限の荷物だけにし、足りないものは現地で調達するというスタイルが多くなってきました。
 実際、先日岐阜県の郡上八幡へ一人旅をしたときにも、肩にかけられる決して大きいとはいえないバッグに入れたのは、必要最低限の着替え、デジカメ、携帯電話、財布(僕はクレジットカード類を一切持っていません)ぐらいでした。最近では、旅先に本を持っていくこともほぼなくなりました。実際に自分の体で旅をしている瞬間は、ちょっとした「精神の旅」である読書は必要ないと考えるようになったからかもしれません。

 オーストラリアの先住民族アボリジニは、小さめの水筒と、地面を掘って水や食料を探すための木の棒だけをもって、一日に100km以上もの距離を移動するそうです。
 物への執着心を完全には捨てきれない自分にはとてもそこまで身軽な旅はできませんが、ほぼ身一つでどこまでも歩いていける彼らに、言いようのない不思議な憧れを感じてしまいます。

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 2011年の春、岐阜県のほぼ中央に位置する小京都・郡上八幡に、一人旅に行きました。
 
画像 今から1500年以上も昔の大和時代、なだらかな山々は大和言葉で「くぢ」と呼ばれ、谷間は「や」という言葉で示されていました。その二つの言葉が合わさって「くぢや」となり、それがなまって「ぐぢゃう」と変化しました。やがて漢字が渡来するとそれに「郡上」の文字が充てられ、この地の名として定着しました(参考:郡上八幡観光協会ホームページより)。

 その由来の通り、郡上は周囲をなだらかな山で囲まれた地です。また、長良川の上流に位置し、奥美濃の山々から流れ出た吉田川、小駄良川など三つの川が合流するところにある郡上は、古くから清流の町として独自の文化を育んできました。
 そして、江戸時代から400年にわたって続いていて、日本三大盆踊りの一つに数えられている「郡上踊り」も有名です。7月中旬から9月上旬にかけて32夜にわたって踊られ、特に8月13~16日には、夜を徹して踊り続ける「徹夜おどり」が行われます。4日間の踊り客は、延べ25万人に達するとされています。

画像 そんな郡上八幡には、以前からちょっとした縁がありました。

 僕が通っていた小学校(埼玉の大宮)の運動会で、毎年学年ごとでテーマを決めた創作ダンスがありました。各学年、その年のヒットソングや映画音楽、どこかの国の民族音楽などをBGMにして、学年全員でダンスを踊ります。
 そして、僕が4年生だったときの演目はというと……郡上おどりの一つ、「春駒」でした。
 なぜ埼玉県の小学校の運動会で郡上踊りが選ばれたのか。当時の先生の中に郡上八幡出身の人がいたのか。今となっては定かではありません。いずれにしても僕たち4年生は、運動会に向けて郡上踊りのビデオを何度も見て、体育の時間や放課後を使って「春駒」に取り組みました。

 「春駒」は、練習してみると思った以上にテンポの速い、難しい踊りでした。「七両三分の春駒、春駒…」という調子のよい歌に合わせて、軽快な足さばきを意識して踊ります。この踊りは、躍動する馬を手綱でさばいている様子を表しているとされていて、10種類ほどある郡上踊りの中でも、特にリズミカルなものです。
 
 そして運動会当日。埼玉の小学校の校庭に、郡上踊りの軽快なお囃子が流れました。さんさんと輝く太陽の下、たすきを身につけた僕たち4年生は、見物客の手拍子に合わせ「春駒」を踊りました。
 もう、今から18年も前のことです。

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 その郡上踊りの発祥の地・郡上八幡に向かいます。

 郡上八幡へは新幹線ではなく、のんびりと列車を乗り継いで行くことにしました。地元の大宮駅から湘南新宿ライン、東海道線、高山本線と鈍行電車を乗り継ぎ、美濃太田からは長良川鉄道に乗り換え、長良川の清流を堪能しながら郡上を目指しました。
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 午後15時ごろ。大宮を早朝に出発して約9時間。とうとう目的地である郡上八幡に到着しました。木造の駅舎が、何とも言えずいい雰囲気を出しています。
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 駅から15分ほど歩いて、郡上の中心地へ到着です。
 郡上八幡は17世紀に城下の防火などを目的に築造された水路が町中に巡らされていて、町を歩いていると、ちゃぷちゃぷという気持ちのよい水の音が至るところから聞こえてきます。
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 (『郡上八幡への旅② ~2つの鍾乳洞~』へと続く)

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